シューマッハの風に吹かれて(Blowin' in the Wind of Schumacher)

日本でも少しずつ認知度が高まってきたSchumacher College(シューマッハ・カレッジ)大学院。しかし、まだ日本人の参加者も少なく、日本語での情報も少ない為、その実態が掴み辛いのが現状です。 そこで、少しでもシューマッハ・カレッジ情報を国内で広め、多くの方に興味を持ってもらいたいと思って始めたブログです。

僕はこうして英語アレルギーを育んだ③ ~少年時代その2~

さて、前回のエントリーからすっかり日が空いてしまいました。ずっと更新していないことが気にはかかっていたのですが、仕事の忙しさを言い訳に中々手が付かず、半ば諦めの境地に達しかけたこともありました(オイ)。だけど、ブログを書くこと自体が初めての経験だし~、続けることに意義があるし~、最初からゆるーく更新するって宣言してたし~、と自分に甘い言い訳をしながら、しれっと更新しますがお許しください。これからも気長にお付き合いください。

 

嬉しくない夏休み

 

前回のエントリーの通り、渡米時点ではアルファベットも書けない状態だった。しかし、約1年が経ち、無事に自分の名前をアルファベットで書けるようになり、多少は周りの人が何を言っているか分かるようになってきた。そんな頃に、夏休みが訪れた。私が通っていた小学校は、約2ヶ月間の夏休みなので、思いっきり遊ぼうと考えていた。しかし、考えが甘かった。

 

両親は、私が早くアメリカの生活に慣れるように、そして早く英語が出来るように、という親心から2~3つの泊まり込みのキャンプに申し込んでいたのだ。このキャンプというのは、サッカー、テニス、バスケットボール、ゴルフ、野外活動等のテーマ毎に組まれていて、約1~2週間合宿形式で行われるもの。つまり、10歳そこそこで英語スキルもない状態で、親元を離れてアメリカ人と一緒に英語を使いながら共同生活をしなければならないのだ。当日の私にとっては、「死刑宣告」のような事態だった。

 

こうして、ウキウキの夏休み気分は、奈落の底まで落とされることになった。

 

みんながいない!?

 

とあるキャンプに参加した際、初日に紙を配られて全体説明があった。当然、何を言っているのか、何が書いてあるのかは分からない。それでも、何とか自分の部屋に辿り着き、ルームメイトのアメリカ人と「ハロー、マイネームイズ○○○」程度の挨拶をした。しかし、とにかく怖くて、心細くて部屋にずっと閉じこもっていた。

 

ずっと塞ぎ込んでいたので、一体どれぐらいの時間が経ったのかも分からないが、ふと気づいたらルームメイトもいないし、「あれ?みんなどうしてるんだろう?紙にはどんな予定が書いてあったんだろう?」と突然不安になり、部屋を飛び出た。しかし、宿舎には全く人気がなく、どこに行っても誰もいなかった。まるで自分だけがこの世に取り残されたような心細い気持ちに襲われ、涙が止まらなくなり、号泣しながら宿舎を走り回った。

 

どこにも誰もいない。絶望の淵に立たされていたら、スタッフが声を掛けてくれた。救われた!とにかく、ボディーランゲージを使いながら自分の状況をつたない英語で説明したら、外に案内してくれた。

 

どうやら、外でキャンプ参加者全員の集合写真を撮る時間だったようだ。

 

何フィート!?

 

やっとみんなと合流でき、孤独死しそうなほどの寂しさから解放された。それだけでも嬉しかった。しかし、試練はまだまだ続いたのだ。何やらスタッフの人が、「○○フィート トゥー ○○フィート」みたいなことを繰り返し言い、その後にぞろぞろと何人かの人が動くのだ。全く意味が分からなかった。

 

「フィート」の意味を思い出していた私は突然閃いた、「足だ!」と。「きっとこれは足の大きさで人を分類しているのだ」と。自分の足の大きさが何フィートなのかは分からないが、自分と似たサイズの人が動くタイミングで自分も移動すればいいのではないか。我ながら、少年時代にしてはなかなかの推測力である。

 

近くの女性の足を見る限り同じサイズだった為、彼女が動くタイミングで自分も移動することにした。そうすると、周りの人が「え!?お前が!?」みたいな目でこちらを見ている。しかし、私は堂々としたものだ。「君らが何と言おうと、多少の誤差はあれども、僕と彼女の足のサイズは同じだ。フィートは足だ!」と心の中で唱えていた。しかし、その直後に自分の推測力の甘さを思い知らされた。

 

呼ばれた場所に行ってみると、自分よりも遥かに背が高い人たちが並んでいる。しかも、ほとんど似たような背の高さばかりだ。その瞬間、私は心の中で叫んだ。

「しまった!これは背の順だ!でもおかしい!フィートは足じゃないのか!?一体何がどうなってるんだ!」

自分の誤りに気付いたが、完全に後の祭りだった。こうして、背の高い集団に囲まれる中、不自然に背が低い東洋人が紛れ込んだ集合写真が出来上がったのだ。そして、フィートには足以外にも意味があるらしいことを学んだのだ。

 

次回ももう少しキャンプの話をしようかと思いますので、引き続きお楽しみくださーい。