シューマッハの風に吹かれて(Blowin' in the Wind of Schumacher)

日本でも少しずつ認知度が高まってきたSchumacher College(シューマッハ・カレッジ)大学院。しかし、まだ日本人の参加者も少なく、日本語での情報も少ない為、その実態が掴み辛いのが現状です。 そこで、少しでもシューマッハ・カレッジ情報を国内で広め、多くの方に興味を持ってもらいたいと思って始めたブログです。

シューマッハ・カレッジの受験記録: 英語(TOEFLかILETSか?)

 まずは、英語の勉強に関する記事を書きたいと思います。ちなみに、前回も紹介したスケジュールでいうとここです!っていうのを下の図に示しました。(前回はスケジュール表が横長になってしまったので、今回は勉強期間だけを切り取って図にしました。)

f:id:masa-qivo:20140717173747p:plain

 

多くに日本人にとって最初にぶつかる壁であり、かつ最大級の関門なのが、英語なのではないでしょうか。そして、私もご多分に漏れずこの英語に苦しめられてきた経緯を持っています。(どのように苦しめられてきたかの詳細は、「僕はこうして英語アレルギーを育んだ」シリーズをご覧ください。) 

また、英語アレルギーを克服しようと思って何回か英語を勉強しようとチャレンジしたこともありましたが、何度も何度もくじけてきました。(これも詳細は、こちらの記事の「3.自己紹介(留学準備)」の項目をご覧ください。)

 

その為、今回のシューマッハ・カレッジ留学に向けた英語の勉強は、これまでの英語アレルギーやトラウマとの決別に向けた第一歩を意味し、それと同時に今まで英語の勉強を続けられなかった過去の自分を乗り越える、という自分にとっては非常に大きな位置付けのものでした。今回こそはトラウマにしっかりと向き合いたい、結果が出るまで勉強を継続したい、という不退転の決意を持って英語の勉強に臨むことを誓いました。

 

「さて、どうやって勉強しようか」と考えたときに、以下の内容を考えました。これまでエイヤーで勉強を始めてしまったことの反省も踏まえて、しっかりと考えてからにしようとやっとこさ思うに至りました(笑)


① 受験テスト: TOEFLかILETSか?
② 勉強方法: 独学か国内予備校か海外語学留学か?
 

それぞれについて順を追ってみていきたいと思います。今回はまずは①について。

 

①受験テスト: TOEFLかIELTSか?

海外留学する場合は、大体このTOEFLかIELTSが英語力を証明する為の試験に用いられるのが一般的です。TOEFLがアメリカの団体(ETS)が運営していること、そしてIELTSはイギリス系の団体(Cambridge等)が運営していることから、かつては、アメリカ留学→TOEFL、旧英連邦やヨーロッパ留学→IELTS、という棲み分けがされていたようですが、最近はTOEFLもIELTSも受け入れている学校多く、どちらでも好きな方を受験すればいい、となってきています。

 

そうすると、当然どちらの試験を受けるか悩みますよね。そして、世の中ではどちらが点数を取りやすいか?という議論も多くされています。私は過去にTOEFLを受けていた経験も踏まえながら、IELTSとはどういう試験なのかを調べて、IELTSを受験することにしました。私が考えるそれぞれの違いについて、下記に簡単に記載します。

 

運営方法:
まず、個人的にはTOEFLの運営方法に納得できない、というのがあります。

例えば、TOEFLにはダミー問題というものがありますが、こんなものがあるテストは他に見たことがありません。(ダミー問題とは、受験者の統計学データを集める為の問題で、解いてもテストスコアに全く反映されない性質のものです。受験者はどれがダミー問題か分からない為、全問題をしっかり解く羽目になります。)

また、TOEFLは一斉に試験をスタートせず、到着した受験生から順番にテストを開始します。その為、Readingを解いている最中に隣の人がSpeakingを始めるといったことが普通に起こるので、試験に集中できる環境が整っているとは言い難いです。遅めに行った方がいい、とか、早めに行った方がいい、という全く本質的でない部分に関する議論も起こったりします。

もちろん、これらの部分も含めてTOEFLという試験であり、全員同じ条件下で受験しているので、私だけに起きている問題ではない為、全員平等ではあります。しかし、このような運営方法が、果たして人生を掛けて必死に勉強している受験生に対して「真摯な」ものといえるのでしょうか。

TOEFLの勉強をしていた頃はIELTSを知らなかったので、「TOEFLしか選択肢がない以上、そういうのも全部含めてTOEFLの試験対策をしよう」と思っていました。しかし、IELTSという選択肢が別にあるのであれば、それを検討する価値は十分にあると、個人的には思います。

検討した結果、IELTSには当然ダミー問題はないですし、受験生は一斉に試験をスタートするので、IELTSの真摯な姿勢に惚れ込んで!?(試験として当たり前の条件なのですが・笑)、これだけでもIELTSにしようと思ったぐらいです。

 

Reading:

【IELTSのプラス面】

  1. まずは、何と言ってもIELTSはペーパー形式なので問題用紙に書き込みながら問題を解くことができますTOEFLはPC画面なのでもちろんそんなことはできません。この違いは個人的にはかなり大きかったです。
  2. 次に、覚えるべき語彙数もIELTSの方が多少少なくて済む気がしました。(もちろん、どちらも難しいのですが。。。)かなり難しい単語の場合は、その意味を問題文中に書いておいてくれる、という男気溢れることをしてくれる場合もあります(笑)。
  3. 最後に、TOEFLはアメリカの歴史や文化を背景とした問題が出ることが比較的多い為、アメリカという特定地域の前提知識があると解きやすいという面があります。(実際に受験予備校ではアメリカの歴史や文化を大枠でもいいので予め勉強することを薦められました。)これは、前提知識がある人にとってはメリットですが、私の場合はデメリット方面に働きました。一方で、IELTSの場合はこのようなことはありません。 

【IELTSのマイナス面】

  1. まず、IELTSの方が読まなければいけない文章量が多いので、TOEFLに比べて読むスピードが求められると思います。
  2. 次に、TOEFLはそのまま単語の意味を問う問題がいくつかあるので、暗記さえしてしまえば点数が取れるという面がありますが、IELTSにはこのような問題は基本的にないので、意味を覚えるだけでは点数に繋がりにくいというデメリットはあります。
  3. また、IELTSには、「YES / NO / NOT GIVEN」や「TRUE / FALSE / NOT GIVEN」形式の問題があります。質問内容が、与えられたパッセージの内容と一致しているか、一致していないか、それともそもそもそんな情報を与えられていないか、というのを判断するのですが、これが非常にややこしいです。特に、「NO」「FALSE」と「NOT GIVEN」の違いが本当に難しいので、必ずと言っていいほど点数をここで取りこぼします。あとは、「YES」で答えるべきところを思い込みで「TRUE」としてしまい、不正解になることもあります。(実際に模擬試験で全てバツになったことがあります・涙)

 

Listening:
【IELTSのプラス面】

  1. Readingと同様にIELTSはペーパー試験なので、書き込みながら問題を解けるのが嬉しいです。TOEFLはもちろんPC画面なので無理です。
  2. IELTSは問題文を先読みや聞きながら同時に見ることが出来るので、ざっと問題文に目を通しておいてからListening出来るというメリットがあります。一方で、TOEFLは全部聞き終わってからでないと問題文を表示できないので、このようなことが出来ません。
  3. IELTSはディクテーション問題があるので、ディクテーション形式が得意な私は助かりました。一方で、TOEFLにはディクテーション問題はありません。 

【IELTSのマイナス面】

  1. 何と言っても発音だと思います。イギリス発音やオーストラリア発音が基本になるので、アメリカ発音に慣れている日本人にとって最初は聞き取りにくいと思います。後は、アメリカでは使わないような独特な表現が出てくることも多少あります。
  2. 上記プラス面で書いたディクテーション問題ですが、正確に単語のスペルを覚えていないと当然正解出来ないので、正確性が要求されます。また、手書きなので汚い文字だとうまくスペルを識別してもらえずに不正解になる場合があります。(私はあまり綺麗な文字ではないので、模擬試験ですが書いたつもりの文字をうまく認識してもらえずにバツが付いたことがあるので、とても気を付けるようにしました。小文字のaの上の部分をきちんと閉じるとかですね。閉じないとuと認識する採点官もいるので。)

 

Writing:
【IELTSのプラス面】

  1. TOEFLには複合問題(Integrated Task)というものがあり、文章を読む(Reading)+文章に関する説明を聞く(Listening)をしてから、それについて書く(Writing)という複合的な要素が求められる問題があります。かなり実践的な能力を要求されていると思いますが、Listeningが出来ないとそもそもWritingが出来ないのでWritingの試験にならない為、純粋にWriting能力を測る試験なのか、という疑問は残るところです。一方で、IELTSにはこのような複合問題がない為、Writingのみに集中することが出来ます
  2. IELTSは大体出題される問題のパターンが一定なので、対策を立てやすいです。Task1はグラフやチャートの説明問題、Task2は提示された課題に対する自分のスタンスとその理由を書く問題です。

【IELTSのマイナス面】

  1. 手書きなので、とにかく手が疲れます。それに簡単に文の挿入・削除ができないので、途中まで書いてしまってから大幅な修正というのが出来ません。それに対して、TOEFLはPC入力なのでそれらが容易にできます。
  2. Task1は150 wordsで、Task2は250 wordsという指定がありますが、これを実際に数えて検証するのは不可能です。なので、大体1行に自分は何文字ぐらい書いているのかを普段から数えておいて、それに行数を掛けてざっくりと出すしかありません。一方で、TOEFLは自動的に文字数を計算してくれるので、一目で文字数は分かります。

 

Speaking:
【IELTSのプラス面】

  1. Writingと同様に、TOEFLには複合問題(Integrated Task)というものがありますが、IELTSにはこのような複合問題がない為、Speakingのみに集中することが出来ます
  2. IELTSは試験官と対面形式で面接を行うので、実際のコミュニケーションのように話ができるのが最大のメリットだと思います。質問を聞き直すことも出来ますし、自分の話している内容への反応(相槌等)がありますので、話し易いです。一方で、TOEFLはヘッドセットを着用した状態で、PC画面に向かってひたすら話すので何とも言えない虚しい気持ちになります(笑)

【IELTSのマイナス面】

  1. IELTSは多くの場合、Reading・Listening・Writingは同じ日に行われますが、Speakingだけ別日になることがほとんどです。土曜日にR/L/Wで、日曜日にSということが一般的だと思います。その為、IELTSだけで週末が潰れます(涙)一方で、TOEFLは全て同じ日に行うので、1日だけ集中すれば終わります。
  2. 面接形式なので、思ってもみないような質問が出てきてしどろもどろしたりすることがあります。そこらへんもうまくごまかしながら、何とか答えるというような臨機応変さが求められると思います。一方でTOEFLは基本一方的に話すだけなので、対策は立てやすいと思います。IELTSは双方向のconversationで、TOEFLは一方向のspeechといった感じでしょうか。どちらが自分に合っているかですね。


スコア算出方法:
TOEFLはR/L/W/Sの点数(30点満点で1点刻み)を4科目分足して、120点満点で点数を算出します。1点単位で点数化されるので、実力が1点刻みで細かく出てきます。
IELTSはR/L/W/Sの点数(9点満点で0.5点刻み)を4科目分足して、さらに4で割って4科目の平均点を算出します。それをOverAllという呼び方をしています。ここでミソなのが、「4で割る」というところです。当然、0.125や0.25といった端数が出るので、これを切り上げるのか切り下げるのかという問題が生じます

例えばですが、、、(ちなみに、下2つは私が実際に体験したスコアです)
7.5 + 7.0 + 6.5 + 7.0 = 平均7.0 → 当然Overall 7.0
7.0 + 7.0 + 6.5 + 6.5 = 平均6.75 → 切上げてOverall7.0
7.5 + 7.0 + 8.0 + 6.0 = 平均7.125 → 切下げてOverall7.0
7.0 + 7.0 + 6.0 + 6.0 = 平均6.5 → そのままOverall6.5

このように切上げがあるのでIELTSはスコアが出やすいと言われています。但し、切り上げがあれば、当然切り下げもあるので、7.125とかだと目の前まで切上げでの7.5が見えているのに、切下げで7.0に引きずりおろされます(涙)このへんは仕方がないですね。

 

次回は勉強方法について、書きたいと思いまーす。