シューマッハの風に吹かれて(Blowin' in the Wind of Schumacher)

日本でも少しずつ認知度が高まってきたSchumacher College(シューマッハ・カレッジ)大学院。しかし、まだ日本人の参加者も少なく、日本語での情報も少ない為、その実態が掴み辛いのが現状です。 そこで、少しでもシューマッハ・カレッジ情報を国内で広め、多くの方に興味を持ってもらいたいと思って始めたブログです。

Schumacher Collegeとは

1. 名前の由来

よくシューマッハ・カレッジという名前を出すと、「 世界的F1レーサーのこと!?」となるのがこの学校の宿命。私も何度も友人に聞かれましたw でも本当の由来は別のところにあります(当たり前かw)。

『Small is Beautiful(スモール・イズ・ビューティフル)』(1973刊行)という本で、経済拡大指向の世界に対してヒューマンスケールでの成長を訴えた経済学者E.F シューマッハ(Ernst Friedrich Schumacher)の名前からシューマッハ・カレッジと命名されました。

いきなり、E.FシューマッハだのSmall is Beautifulだの言われても「何のこっちゃっ!?」だと思うので、簡単に説明します。ここは自分で文章を考えると面倒な為信頼のあるwikipediaさんから引用したいと思います。

 

まずは、E.Fシューマッハ氏について。もっと詳しく知りたい方は、こちらへ。

エルンスト・フリードリヒ・シューマッハ(Ernst Friedrich "Fritz" Schumacher、1911年8月16日 - 1977年9月4日) は、ドイツ生まれのイギリスの経済学者。ケインズに師事した。イギリス石炭公社の経済顧問。

長年の石炭公社の勤務経験と経済学者としての分析から、石炭及び、その代替燃料としての石油の枯渇を予測し、原子力の利用についても警鐘を鳴らした。

1973年に刊行された『スモールイズビューティフル』は、その中でエネルギー危機を予言し、第一次石油危機として的中したことで世間の注目を浴び各国語に翻訳された。同書はen:The Times Literary Supplementにより、第二次世界大戦後に出版された書籍の中で、世界に影響を与えた100冊に選出された。

 

次に、Small is Beautifulについて。これも詳しく知りたい方はこちらへ。

スモール イズ ビューティフル (英:Small Is Beautiful: Economics As If People Mattered)は、1973年にイギリスの経済学者、エルンスト・フリードリッヒ・シューマッハーが執筆した経済学に関するエッセイ集。エネルギー危機・仏教経済学などが説かれている。

イギリス石炭公社の経済顧問であった著者は、来るエネルギー危機を本書で予言し、それは第一次石油危機として現実化した。また、大量消費を幸福度の指標とする現代経済学と、科学万能主義に疑問を投げかけ、自由主義経済下での完全雇用を提唱した。経済顧問として招かれたビルマで見た仏教徒の生き方に感銘を受け、仏教経済学を提唱した。

 

E.Fシューマッハ氏はSmall is Beautifulの中で、 経済学を他の学問に優先して強調し過ぎることの危険性を説いてます。私は経済最優先の世界の中で育ち、経済学が崇めらる様な価値観になれていた為、昔の経済学者が自分の研究対象の学問をこのように捉えていることにすごく驚いたのを覚えています。

なお、Small is Beautifulは日本語の本も出ていますので、興味のある方は読んでみて下さい。 

スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫)

 

2. 創設者

学校名には「シューマッハ」という名前が付いていますが、E.Fシューマッハ氏がこの学校の創設者ではないようです。E.Fシューマッハ氏の志を引き継いで学校を作る際に、サティッシュ・クマール(Satish Kumar)というインド生まれのイギリスの思想家が中心となって設立したそうです。なお、E.Fシューマッハ氏は既に亡くなられていますが、クマール氏はまだご存命(1936年生まれの78歳!)でシューマッハ・カレッジでも講師として教えられています。

クマール氏に関する書籍も出ていますので、よろしければどうぞ。特に2つ目のものはDVDも付いており、文字を読むのは億劫だという方にはおあつらえ向きだと思います。(私もまずは映像から入りましたw)

君あり、故に我あり (講談社学術文庫)

サティシュ・クマールの 今、ここにある未来(ナマケモノDVDブック)

 

3. 学校の特徴

シューマッハ・カレッジは大学院ですが学部を持たない、いわゆる大学院大学です。主な特徴は下に並べたような感じです。

  • 「持続可能な暮らしの為の変容を促す学び」の場として、1991年から始まった国際的な教育機関。The Dartington Hall Trust(ダーティントン・ホール財団)が母体となり、その一組織として設立。同財団は、かねてよりホリスティックな世界観を基本にした教育・研究・文化支援活動を行っている。
  • 1コース15名の少人数全寮制(全コース合せても50名程度)で、生徒・先生・スタッフ・ボランティアなど全員が、料理・片づけ・掃除・ガーデニングなど暮らしを共にしながら学ぶというユニークなスタイル。
  • 開発・発展、食、経済、組織運営、精神的成長、持続可能性、平和、平等などについて統合的に学ぶ点に特徴があり、上記の少人数制とも併せて、このような教育を行っている世界で唯一の教育機関。

雰囲気は↓こんな感じのところです。(写真は学校HPより)

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4. 場所

イギリス南西部のDevon(デボン)州、Totnes(トットネス)という街からほど近くに位置しています。ロンドンからは南西に約300キロ離れている為、そんなに都会ではありません。いや、むしろいい感じに緑が広がっている所だと思います。

地図上で見るとAの場所です。結構離れてますね、やっぱりw

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なお、トットネスという街は世界初のTransition Townとして有名な街です。Transition Townとは、市民・コミュニティの力を生かし持続可能な社会への移行を目指した運動です。日本でもトランジションタウン運動はあり、NPO法人トランジションジャパンが中心となって活動しています。興味のある方は、こちらのHPもご覧ください。

 

5. コース

1年間のマスターコース(修士課程)と、4日間~3週間程度の一般参加者向けのショートコースを提供しています。ちなみに、当たり前かもですが授業は全て英語です(涙)。

修士課程というとアメリカや日本では2年間が通常ですが、イギリスの場合は1年間が主流です。ケンブリッジやオックスフォードも1年間の大学院コースが多いのがそれをよく表してますね。

また、「1年間もイギリスに行って学生なんてできないよ! 」という人の為に、ショートコースがあります。マスターコースのように学位が授与されるものではありませんが、シューマッハ・カレッジの教育を体験してみたい、という場合にこのようなコースが用意されているのは有難いですよね。

各コースの詳細については、学校HPに記載されています。英語なのが玉に傷ですが、よろしければ見てみてください。マスターコース ショートコース

なお、明治学院大学のゼミ活動の一環で、シューマッハ・カレッジのショートコース(一般向けではなく、ゼミ専用にカスタマイズされたものですが)に参加した際の内容が、本として出版されてますので、これを読むとイメージが湧きやすいかもしれません。日本語なのが嬉しいですね、やはり。

英国シューマッハー校 サティシュ先生の最高の人生をつくる授業